筋骨格系疾患の基本知識

2024年12月13日に追加

更新日：2024年12月5日
発信者：社会医療法人ペガサス馬場記念病院
監修者：魏　秀復（脳神経外科・副院長）

神経系疾患は、脳や脊髄、末梢神経など、人間の全身を制御する神経系に起因する疾患を指します。その中でも、脳卒中は突然発症し、生命や日常生活に重大な影響を及ぼす病気の一つです。特に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といった3種類の疾患は、適切な対応と治療が生死を分けることがあります。ただし、早期発見とリスク管理を徹底することで後遺症の軽減や再発防止が可能です。本記事では、これらの疾患の特徴、治療法、退院後のリスク管理まで詳しく解説します。

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神経系疾患としての脳卒中：その種類と治療法

脳卒中は、神経系疾患の中でも特に迅速な対応が求められる病気です。脳内の血流が途絶えたり、血管が破れることで発症します。

＜脳卒中の種類と特徴＞

脳梗塞：血管が血栓や動脈硬化で詰まることで、脳への血流が途絶える状態です。典型的な症状は顔や手足の片側麻痺、言語障害です。発症から4.5時間以内にtPA（血栓溶解剤）の投与や、機械的血栓回収療法を行うことが有効です。
脳出血：血管が破裂して脳内に出血する状態です。突然の激しい頭痛や意識障害、片側の手足の麻痺がみられます。内科治療で血圧を管理しつつ、重症例では血腫を除去する手術を行います。
くも膜下出血：脳動脈瘤が破裂し、脳の表面にあるくも膜下腔に出血します。突然の激しい頭痛、吐き気、意識障害が特徴です。クリッピング術やコイル塞栓術といった手術が必要です。

＜具体的な対応方法＞

FASTの徹底：顔（Face）の片側麻痺、腕（Arm）の上げにくさ、言葉（Speech）の不明瞭さ、そして発症時間（Time）を確認し、異常があればすぐに119番通報をしましょう。
救急搬送時の情報共有：発症時間、症状の経過、服用中の薬（特に抗血栓薬）を医療機関に正確に伝えましょう。

CURE・CARE・SUPPORTを活用する

神経系疾患としての脳卒中治療は、発症直後から退院後まで継続的に「CURE（治療）」「CARE（日常生活のケア）」「SUPPORT（支援）」を統合的に進めることが重要です。

＜それぞれの役割＞

CURE：発症直後の血栓除去治療や手術を含む急性期治療。
CARE：退院後の嚥下機能訓練や日常生活動作のリハビリテーション。
SUPPORT：地域包括ケアシステムを活用した家族の負担軽減策。

＜実践のポイント＞

食事の嚥下困難に対処するため、嚥下評価に基づいた食事形態を取り入れる。
自宅で行える片麻痺の患者さま向けのリハビリテーションを習慣化する。

医療チームとの連携で最適な治療を決定する

神経系疾患の治療には、医療チームとの連携が欠かせません。特に脳卒中のような急性疾患では、治療選択が患者さまの生命と生活の質を左右します。

＜行動のポイント＞

治療選択肢を明確に理解する：たとえば、tPA療法の適応外の場合に手術や薬物療法に切り替える判断基準を尋ねます。
セカンドオピニオンを活用する：治療法に疑問や不安がある場合、別の専門医に相談することで選択肢が広がります。
ご家族全体で情報を共有する：ご家族間で患者さまの希望を尊重しながら治療方針を決定します。

リスク管理と退院後の生活準備

神経系疾患は、治療後も長期的なリスク管理が必要です。脳卒中の再発防止と生活環境の整備が、患者さまの回復を支えます。

＜再発防止策＞

血圧や血糖値、コレステロール値を管理し、生活習慣を改善。
禁煙、適度な運動、バランスの取れた食生活を推進します。
服薬指導を徹底し、抗血小板薬や抗凝固薬を正しく服用します。

＜安全な生活環境の整備＞

手すりや段差解消など、自宅内での転倒予防を強化。
車椅子や歩行補助具を導入し、自立した生活をサポート。

＜地域リソースの活用＞

訪問看護やデイケアなどのサービスを利用し、ご家族の負担を軽減。
地域包括ケアセンターに相談し、支援体制を最適化。

まとめ

神経系疾患の一つである脳卒中は、適切な対応とリスク管理が生命を救い、その後の生活の質を高めます。神経系疾患への理解を深め、適切な対応を通じて安心して日々を過ごせる環境を整えましょう。

症状や進行状況に応じた迅速な治療を選択する。
CURE・CARE・SUPPORTを活用し、治療から生活支援まで統合的に取り組む。
医療チームとの連携を深め、患者さまとご家族が納得のいく治療を選ぶ。
退院後の生活環境を整え、再発防止策を徹底する。

監修者プロフィール

●職種・資格
医学博士
日本脳神経外科学会　指導医
近畿脳神経外科学会　評議員
日本脳卒中学会　指導医
日本脊髄外科学会　認定医
脊椎脊髄外科　専門医
日本脳血管内治療学会
日本脳神経外科コングレス

脳神経外科ではありますが、全例手術を行うのではなく、状態、症状に対して、確実かつ適切な治療を行います。また、外来診療のみでなく、救急でも即座に対応できるような体制をとっています。

よくある質問

Q1.神経系疾患の治療を受ける際、どのようなリスクが考えられますか？

神経系疾患の治療中には、病状の急変や合併症の発生など、さまざまなリスクが考えられます。特に急性期においては、脳浮腫や痙攣、血圧の変動などが生じる可能性があり、これらは全身状態の変化と密接に関連しています。そのため、治療中は患者さんの全身状態を継続的に評価・管理し、リスクを最小限に抑えることが重要です。

Q2.神経系疾患の治療中に注意すべき点は何ですか？

治療中は、患者さんの意識レベルやバイタルサイン（血圧、脈拍、呼吸数など）を適宜確認し、異常がないか注意深く観察することが重要です。特に早期離床やリハビリテーションを進める際には、循環動態の変化や神経症状の増悪に注意を払い、必要に応じて中止基準を設けて安全を確保することが求められます。

Q3.神経系疾患の治療において、家族はどのようにサポートすればよいですか？

神経系疾患の患者さんは、意識障害や認知機能の低下により、自らの意思を表現することが難しい場合があります。そのため、家族が患者さんの代弁者となり、医療チームと連携して意思決定を行うことが重要です。また、患者さんの生活背景や希望を医療者に伝えることで、より適切なケアやリハビリテーションが提供されるようサポートすることが求められます

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