更新日:2024年12月5日
発信者:社会医療法人ペガサス 馬場記念病院
監修者:吉田 礼子(入退院管理センター・センター長)
突然、患者さまに病気の症状が現れる「発症期」。この時期はご家族が最も混乱しやすい状況ですが、冷静な判断と的確な対応が、患者さまの命を救う重要な鍵となります。本記事では、発症期に必要な心構え、事前準備、医療スタッフとのスムーズな連携の方法を具体的に解説し、ご家族の行動を支援します。
発症期では、ご家族の迅速かつ冷静な対応が、患者さまの命や予後を大きく左右します。
<状況の把握と初動対応 >
まず患者さまの状態を確認しましょう。意識がある場合には、症状の詳細を聞き取り、異常がある部位や痛みの程度を把握します。例として、「頭痛が突然始まり、激しさが増している」や「胸が締め付けられるような痛みがある」など、具体的に記録しておくと良いです。
意識がない、呼吸が正常に行われていない場合は、迷わず「119番」に通報してください。救急隊には、発症した時間や症状の進行具合、既往歴などを正確に伝えることで、到着後の対応がスムーズになります。
<救急車が到着するまでの対応 >
患者さまを安全な姿勢に保ちましょう。例えば、意識がない場合には嘔吐物による窒息を防ぐため、横向きに寝かせることが推奨されます。また、患者さまが動かないようにしつつ、安心感を与えるように声をかけると、不安の軽減にも繋がります。
緊急時の対応をスムーズに進めるには、必要な書類や情報が整備されていることが大切です。
<準備すべき書類や情報>
以下のような項目を日常的に整理しておくと、緊急時に役立ちます。
<事前準備のポイント>
これらの情報を一つのファイルやケースにまとめ、緊急時にすぐ取り出せる場所に保管してください。特に持病をお持ちの患者さまの場合、日頃から準備を進めておくことが命を守る一助となります。
医療スタッフが的確な診断と治療を行うためには、ご家族からの正確な情報提供が必要です。 <情報提供のポイント>
<情報整理の工夫>
緊急時には焦って情報がうまく伝えられないこともあるため、普段からメモやリストを作成し、簡単に参照できるようにしておくと便利です。
ご家族は患者さまの心理的な支えとなるだけでなく、医療スタッフと連携し治療を円滑に進める重要な役割を担っています。
<ご家族が果たすべき役割>
<医療チームとの協力>
発症期は、患者さまとご家族にとって緊張と不安が高まる瞬間ですが、冷静な行動、事前の準備、そして医療スタッフとの連携を通じて、治療がスムーズに進みます。ご家族の行動が患者さまの命を守り、回復への道筋を切り開く力となるのです。どのような状況でも、「今できる最善」を心がけ、一歩ずつ前に進んでください。
入退院管理センター・センター長
●職種・資格
入退院支援看護師
入院前から患者さまが安心して医療を受けられるよう、一人ひとりの状況をしっかりと把握し、入院中はもちろん退院後も含めた一貫した支援を管理しています。院内の連携だけではなく、地域とのつながりで、切れ目のない医療を提供していきます。
発症期には、まず冷静に症状を観察し、必要に応じて速やかに医療機関を受診することが重要です。特に高熱や呼吸困難などの重篤な症状が現れた場合は、早急な対応が求められます。また、感染症の場合は他者への感染拡大を防ぐため、マスクの着用や手洗いなどの基本的な感染対策を徹底しましょう。
発症期の患者さまには、十分な休養と水分補給を促し、栄養バランスの取れた食事を提供することが大切です。室内の適度な湿度を保ち、定期的な換気を行うことで、症状の緩和や感染拡大の防止に役立ちます。また、看護するご家族も感染予防策を徹底し、必要に応じて医療機関に相談することをおすすめします。
発症期には、無理をして出勤や登校をせず、自宅で安静に過ごすことが重要です。特に感染症の場合、他者への感染リスクを高める可能性があるため、症状が改善し、医師から許可が出るまでは外出を控えましょう。職場や学校には、適切な手続きで休暇を取得し、回復後に復帰することが望ましいです。
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