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医師が教える退院準備期のアドバイス

医師が教える退院準備期のアドバイス

更新日:2024年12月5日
発信者:社会医療法人ペガサス 馬場記念病院
監修者:吉田 礼子(入退院管理センター・センター長)

準備期を迎えた患者さまやご家族が安心して在宅医療を始められるように、どのような診療や検査、処置が自宅で可能なのかを具体的に解説します。医師との連携を通じて、適切な在宅医療を選択するための実践的な情報をご紹介します。

目次

在宅医療の対象となる患者さまとは?

在宅医療は、通院が難しく、継続して医療的な診断や治療を必要とする患者さまを対象にしています。

<具体例>

  • 術後の経過観察手術後の創傷ケアや感染症予防のために継続的な治療が必要な方。 
  • がん治療中の方:疼痛管理や抗がん剤治療を自宅で受ける場合。
  • 慢性疾患の管理:糖尿病でのインスリン調整や心不全に伴う利尿剤治療の継続が必要な方。
  • 移動が困難な方:高齢や障害により外出が難しく、頻繁な通院が負担となる方。

患者さまの病状や生活環境を医師が総合的に判断し、在宅医療の適応を決定します。

在宅医療で可能な検査:どこまで対応できるの?

病院に行かずとも、自宅で受けられる検査が充実しています。診断精度を確保しつつ、患者さまの負担を軽減します。  

<具体例>  

  • 血液検査:採血により、炎症反応(CRP値)、血糖値、腎臓や肝臓の機能、貧血の有無などを確認。
  • 超音波検査(エコー):肝臓や腎臓の状態を画像で診断。腹水や胸水の量も確認可能。
  • 心電図検査:心拍数や不整脈、心筋の異常を確認。持続的なモニタリングも対応可能。
  • 尿・便検査:腎機能の評価、感染症の有無、消化器疾患の状態を調査。  
  • 酸素飽和度測定:血中酸素濃度を測定し、呼吸器の状態を管理。

これらの検査は、訪問診療時に行われ、病院とリアルタイムでデータを共有して正確な診断や治療計画の調整に活用されます。

自宅で行える治療・処置の具体例

在宅医療では、患者さまの状態に応じた幅広い治療や処置が可能です。  

<具体例>  

  • 点滴治療:栄養補給のための高カロリー輸液(TPN)、抗生物質の投与、鎮痛剤や抗がん剤の投与など。
  • カテーテル管理:膀胱カテーテルの洗浄や交換、中心静脈カテーテル(PICCライン)の管理。  
  • 創傷ケア:褥瘡の処置(デブリードマン、湿潤療法の実施)、手術後の縫合部の消毒や包帯交換。
  • 酸素療法:在宅酸素療法(HOT)で、COPDや肺炎後の低酸素状態を改善。酸素濃縮器の使用方法も指導。
  • ドレナージ処置:胸水や腹水の排出を行い、呼吸や腹部の負担を軽減。
  • 注射療法:インスリンの調整や、ビタミン剤・補液注射の実施。

これらは訪問医や看護師が患者さまの状態に応じて実施し、安全かつ効果的に管理されます。

退院前に必要な準備:安心して在宅医療を始めるために

在宅医療をスムーズに開始するためには、退院前の十分な準備が重要です。

<具体例>

  • 治療内容の説明:どのような治療が必要か、予想される症状や対応方法を医師が詳しく説明。  
  • 医療機器の使い方を学ぶ:酸素濃縮器、点滴ポンプ、吸引器などの使用方法をデモンストレーションで学習。
  • 緊急時の対応策を確認:夜間や休日に具合が悪化した場合の緊急連絡先や指示書を共有。  
  • 訪問スケジュールの決定:訪問診療の頻度や時間を事前に調整し、予測可能なスケジュールを設定。

患者さまやご家族が治療に積極的に参加できるよう、わかりやすく段取りを整えます。

まとめ

在宅医療は、退院後も高度な医療を必要とする患者さまにとって、通院の負担を軽減しながら高水準の治療を自宅で受けられる選択肢です。自宅で行える血液検査やエコー検査、点滴治療や酸素療法など、多様な対応が可能です。退院準備期には、治療内容や使用機器について医師から十分な説明を受け、家族とともに必要な準備を進めることで、安心して新しい生活を始めることができます。

監修者プロフィール

吉田 礼子

入退院管理センター・センター長

●職種・資格
入退院支援看護師

 

入院前から患者さまが安心して医療を受けられるよう、一人ひとりの状況をしっかりと把握し、入院中はもちろん退院後も含めた一貫した支援を管理しています。院内の連携だけではなく、地域とのつながりで、切れ目のない医療を提供していきます。

よくある質問

在宅医療を希望する場合、まずは現在の主治医や病院の相談室、またはケアマネージャーにご相談ください。彼らが在宅医療を提供する医療機関や訪問診療所を紹介し、連携を図ってくれます。直接、在宅医療を行っているクリニックに問い合わせることも可能です。

在宅医療を提供する多くの医療機関では、24時間365日の連絡体制を整えています。患者さまの体調に急変があった場合、まずは担当の医療機関にご連絡ください。医師が状況を判断し、必要に応じて往診や救急搬送などの対応を行います。

在宅医療の費用は、診療内容や訪問回数、保険の種類によって異なります。一般的には、健康保険が適用され、自己負担は外来診療と同様の割合となります。また、介護保険を併用する場合もあります。詳細な費用については、担当の医療機関やケアマネージャーにご相談ください。

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